My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「他に、何かないのか。セイレーンの秘境への手がかりは」
そう間に入ってくれたのはセリーンだ。彼の視線がそちらに移動して私はほっと胸を撫でおろす。
「一応あるにはあるが、意味がわからねーんだ」
「意味が?」
「ある書物に変な記号みたいなもんが書かれててな、おそらくそれがなんらかのカギになってるんだが、さっぱりわからねぇ」
それを聞いて私は思わず上体を起こした。
「あの、その記号ってもしかして、えっと、5本線の上に丸がたくさんある?」
空中に線と丸を描いて見せると、グリスノートは壁から背中を離した。
「あぁ、それだ」
(やっぱり!)
ツェリウス王子とのやりとりを思い出す。彼も笛の楽譜の意味がわからなくて何かの記号らしいという言い方をしていた。
楽譜がカギになっているのなら、私ならその意味がわかるかもしれない……!
「――が、あんたなんで知ってんだ」
「えっ」
グリスノートの目にはっきりと疑惑の色が浮かんでいた。