My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「あぁ。俺に万一のことがあっても、これだけは残してぇからな」
そう言いながら彼はクローゼットの方へと移動し、その扉を開いた。
「こいつだ」
そうして彼が取り出してみせたその書物は、船にあったどの書物よりも古そうだった。
ごくりと思わず喉が鳴る。――あれに、セイレーンの秘境への手がかりが記されている。
差し出されたそれを受取ろうとラグが彼に近づく。が、グリスノートは直前でひょいっとそれを引っ込めてしまった。
「おっと、ただで見せるわけにゃいかねぇな」
「あ?」
柄の悪い声を上げるラグ。
「俺だけ喋り過ぎだろうよ。そっちのネタをそろそろ寄越せや」
「……」
背を向けられているせいでラグの顔は見えないが、確実に不機嫌MAXだろうと想像できた。
そう言いながら彼はクローゼットの方へと移動し、その扉を開いた。
「こいつだ」
そうして彼が取り出してみせたその書物は、船にあったどの書物よりも古そうだった。
ごくりと思わず喉が鳴る。――あれに、セイレーンの秘境への手がかりが記されている。
差し出されたそれを受取ろうとラグが彼に近づく。が、グリスノートは直前でひょいっとそれを引っ込めてしまった。
「おっと、ただで見せるわけにゃいかねぇな」
「あ?」
柄の悪い声を上げるラグ。
「俺だけ喋り過ぎだろうよ。そっちのネタをそろそろ寄越せや」
「……」
背を向けられているせいでラグの顔は見えないが、確実に不機嫌MAXだろうと想像できた。