My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「だろ? 俺もこんな文字は見たことがねぇ」
「――少し解読に時間がかかりそうだが、なんとかなりそうだ」
ラグが溜息交じりに言うと、グリスノートは目を剥いた。
「マジかよ!? 時間って、どんくらいだ!?」
ラグが難しい顔をしてからゆっくりと答える。
「朝には、なんとか」
「朝!? そんなにかかるのかよ!」
「オレだって早く解きてーんだよ! ……集中したいから、しばらくこの部屋から出て行ってくれないか」
するとグリスノートの眉がわかりやすく跳ね上がった。
「あ? ここは俺の部屋なんだが」
「近くでそんな顔して待たれてると気が散るんだよ!」
ラグがそう怒鳴るとグリスノートはチッと舌打ちをした。
「……下で待ってる。解読出来たらすぐに知らせに来いよ」
「あぁ」
余程早く知りたいのか、案外すんなりとグリスノートは承諾してくれた。
(彼にしてみたら何年間も解けなかった謎がやっとわかるかもしれないんだもんね……)
「グレイス、行くぞ」
呼ばれたグレイスは少し名残惜しそうにブゥに身体を寄せてから飛び立ちグリスノートの肩に乗った。