My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「――グリスノートに、なんて話す?」
「適当に伝えるしかねぇだろ。どちらにしろ、あいつの欲しい情報ではなかったんだ……」
そのとき急に、ラグが私を睨むように見た。
「というかお前、本当にあいつに何もされなかったんだろうな」
「!? されてないよ!」
顔が一気に赤くなるのがわかった。――ちょっと危なかったけれど、何もされていないのは事実だ。
と、セリーンが溜息交じりに口を開いた。
「すぐに駆け付けられれば良かったんだが、リディに止められてしまってな」
「リディに?」
そういえばさっき3人が一緒にいたのを思い出す。
「なんとか振り切って来たのだが」
「本当に、何もされてないな」
「されてない!」
思わず首を大きく振ったせいで、ブゥが私の頭から飛び立つのがわかった。