My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
思わず苦笑してしまう。
――それではまるで、“神様”だ。
流石にスケールが大きすぎる。銀のセイレーンがこの世界を破滅へと導くという伝説だって未だに信じられないのだ。
「うーん、この中でセイレーンの秘境の手がかりになりそうなのは……」
「《楽園》じゃないか?」
後ろのセリーンを振り返る。
「なんで?」
「私たちは《秘境》と呼んでいるが、セイレーン達からしたらそこは《楽園》なんじゃないか」
「あっ!」
確かにそうだ。私は前に向き直り再びページを捲り始める。
「えっと、どこだっけ」
するとラグの手が伸びてきてそのページを開いてくれた。
「ありがとう。この歌詞、なんて書いてあるの?」
訊くと、ラグはそこに書かれた歌詞を抑揚なく読み始めた。
風が歌い、草木が躍る
波が歌い、月の橋がかかる
ここは楽園
鳥が歌い 綿毛が舞う
人が歌い、愛を紡ぐ
ここが楽園