My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
と、そのとき3人の視線が玄関の方へ集まった。私もそちらを見ると、がちゃりとノブが回りゆっくりとドアが開いた。
「兄貴、いる?」
恐る恐るというように顔を覗かせたのはリディだった。宴が終わったのだろうか。
「リディ、おかえりなさい。お疲れ様!」
「カノン!」
私が声を掛けるとリディはその目を大きく見開いてこちらに駆け寄ってきた。
「カノンごめんなさい! 私まさかあんなことになると思わなくて」
「え!?」
ぎゅうっと手を握られ泣きそうな顔で謝られて驚く。
「エスノさんたち、よっぽど嬉しかったみたいで私何も言えなくなっちゃって」
「あ、あぁ。びっくりしたけど、大丈夫!」
私は笑顔で答える。お嫁さんの格好にされた件についてリディは何も知らなかったようだ。あの時私を見て驚いた顔をしていたリディを思い出す。
「でも私も、兄貴とカノンが結婚してくれたらそれが一番いいなって思っちゃって……私、カノンの気持ち全然考えてなくって、ごめんなさい!」
「あぁ……うん。大丈夫」
それに関しては苦笑しながら頷く。