My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
――ブゥが、消えた森唯一の生き残り……?
「なんであんた、そんなこと知ってんだ」
グリスノートが訝し気にラグを見ている。
何か言わなければと口を開く。でも、間に合わなかった。
「オレが消したからだ」
「は?」
「え?」
兄妹の声が綺麗にハモった。
そのとき自分の話をされていることに気づいたのだろうか、ブゥがふわふわと戻ってきてラグの頭に舞い降りた。
「消した、って……」
リディの不安げな声。
「術士……そうか」
そう小さく呟いたグリスノートの肩にグレイスが留まる。それでもラグから目を離さずに彼は続けた。
「あんたが、あのストレッタの」
ぴくりとラグの指先が震えるのを見た。――やはり、彼もラグのことを知っているのだ。
リディはわかっていないのか困惑したように彼らを見つめている。