My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5


 私たちはリディにおやすみを言ってグリスノートの部屋に戻った。

「貴様、本当にレーネに行く気か?」

 扉が閉まったそのとき、ラグの背中に向かってセリーンが問いかけた。
 ぎくりと、緊張が走る。
 ラグは少しの間をあけてから口を開いた。

「あの野郎がいるかもしれねぇんだ。行くに決まってんだろ」

 抑揚のない、なんの感情もこもっていない声音。
 セリーンが小さく息を吐く。

「……私は、カノンを守るだけだ」

 そうして彼女はラグの傍らを過ぎ、ベッドへ向かった。

「カノン、早く寝るぞ。夜が明けたらすぐにでもあの男が怒鳴り込んできそうだ」
「う、うん」
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