My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
私は彼女を追いながら昨夜と同じ窓際に座り込んだラグに思い切って声を掛ける。
「またベッド使っちゃってごめんね」
「いいから早く寝ろ」
ラグはこちらを見ることなくそう言って、すぐに目を閉じた。それでも答えが返ってきたことに少しほっとする。
「ありがとう。おやすみなさい。ブゥもおやすみ」
頭に乗っていたブゥがこちらを見上げて「ぶ」と可愛らしい返事をくれた。
(ブゥが、消えた森唯一の生き残りで。その森を消したのは、ラグ……)
そう考えたら、たまらない気持ちになった。
ブゥは多分そのことを知っていてラグと一緒にいる。人の言葉が理解できる賢い子だ。知らないはずがない。
グレイスと嬉しそうに並んでいるブゥを見て、ラグは本当はどう思ったのだろう。