My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
そして、《消えた街レーネ》。
これから、その地へ向かわなくてはならない。
……こんなとき、アルさんがいてくれたら。ふと、彼の屈託のない笑顔が浮かんだ。
彼ならきっと、ルルデュールと戦ったあの時のようにラグを励まして支えてくれるはずだ。
――ラグを頼んだぜ。カノンちゃん。
そんな彼の声がよみがえる。
(アルさん。私にアルさんの代わりがつとまるでしょうか……?)
ベッドの中で寝がえりをうって、ラグの横顔をこっそりと見つめる。彼は目を閉じていたけれど、その眉間の皴を見てまだ眠れてはいないのだとわかった。
(代わりなんて無理かもしれないけど……)
でも、これから向かう先で何があっても、絶対に、彼から離れてはいけないと思った。