My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
その肩にグレイスはいない。ひょっとしてグレイスもブゥと同じ夜行性なのだろうか。
そんなことを考えていると、船から降りてきたグリスノートは私の格好を見るなり眉をしかめた。
「昨日の花冠とドレスは」
「え」
「まさか持ってこなかったんじゃねぇだろうな」
「え、えっと」
完全に忘れていて焦っていると、目の前にずいっと花冠とドレスが差し出されびっくりする。
「ちゃんと持ってきてます~」
得意げに言ったのはリディだ。私はほっとしてお礼を言う。
「ありがとう、リディ」
グリスノートはふんと鼻を鳴らした。
「ならさっさとそれ着て、オルタードのとこ行くぞ」
グリスノートが離れた後でリディが小声で言った。
「みんなが用意してくれたものだから、ふりだけど着てあげて?」
「う、うん」
なんだか申し訳ない気分になりながら頷くとリディはにっこりと笑った。