My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
 でもセリーンがすぐに前に出てくれた。

「私は行くぞ。この子の“ナイト”だからな」

 グリスノートはそんな彼女を睨むように見つめたが、仕方ないというように小さく息を吐いた。

「まぁ、あんたがいればオルタードも言うこときくかもしれねぇしな。――だが、」

 そのとき足を前に踏み出したラグを、グリスノートはびしっと指さした。

「あんたはダメだ」
「は?」
「さっきから色々駄々洩れなんだよ」
「ぐ……っ」

 ラグが喉に何か詰まったような変な声を出した。

(駄々洩れ?)

 目が合うと、なぜかすぐに逸らされてしまい首を傾げる。
 と、今度はリディが自分を指さした。

「私はいいでしょ?」
「お前もここで待ってろ」
「えー、なんでよ!」

 不服そうに声を上げるリディ。でも。

「そいつが入って来ないようにドアの前に立ってろ」
「え……」

 彼女はグリスノートの視線を辿ってラグを見上げ、またその顔がぼっと赤くなるのを私は見てしまった。
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