My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「あぁ、私のことは気にしないでくれ。まさかの展開に私も驚いてな。ついて来てしまった」
「まさかの、ですか?」
「そ。カノンはこのセリーンお嬢様の連れだったんだが、思いのほか俺と意気投合してな? カノン」
急に振られてびっくりして見れば、怖いくらいの笑顔がこちらを見下ろしていて慌てて頷く。
「そ、そうなんです! 趣味が合うというか」
私も笑顔で合わせる。……“歌が好き”という意味では嘘じゃない。
「俺の嫁にならねぇかと訊いたら二つ返事でOKしてくれてな?」
「はい! もう、とっても嬉しくって!」
「な? まさかの展開だろう?」
セリーンがそう続けた。
(うーわー、これ信じてもらえるかな~)
内心だらだらと冷や汗をかいていると、オルタードさんは短く息を吐いて私に視線を向けた。
「どこが気に入ったんだ。こいつの」
「え!? えっと、……豪快なところとか、グレイスに優しいところとか、仲間に信頼されてるところとか、ですかね?」
今思いつく限りのグリスノートの良いところをあげていく。