My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
 すると、オルタードさんはふっと初めて笑顔を見せてくれた。

「へぇ? そんなに気に入ってくれたのか。なら、子供も期待していいんだな?」

 ぎくりとする。やはりそこも絶対必須条件なのだろうか。
 と、そんな私の動揺に気づいたのかグリスノートが呆れたふうに返した。

「おいおい、いきなりそれかよ。こいつなかなか初心でな、ほら見ろ真っ赤になっちまってるじゃねぇか」

 グリスノートが私を覗き込むようにして優しい声音で言った。

「俺は無理やりは好かないんでね。子供はそのうちな、カノン?」
「へ!? そ、そうですね」

 完全に声がひっくり返ってしまってマズイと思ったそのとき、グリスノートの手が私から離れた。

「ってぇわけだ」

 彼は私の前に出て、がらっと声の調子を変えた。

「もう皆にも伝えてある。リディともうまくやれそうだ。どうだ、これで文句ねぇだろ」

 そして真剣な顔つきで彼はオルタードさんに告げた。

「これで、海賊団ブルーは解散だ」

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