My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
27.港町イディル
――解散!?
海賊の頭であるグリスノートの口から出たその言葉に驚く。
嫁を連れてくれば旅に出られるという話で、海賊団が解散になるなんて聞いていなかった。
(――あ、でも頭のグリスノートが旅に出るってことは、結局そういうことになっちゃうのかな……)
オルタードさんは何も言わず、ただじっとグリスノートを睨み上げている。
それをまっすぐに見返し彼は続けた。
「これは俺の夢のためだけじゃねぇ。ブルーの、いや、このイディル皆の総意だ。皆、もう海賊稼業なんてやめて、真っ当な暮らしがしてぇんだ。だから皆、俺の馬鹿げた夢に加担してくれてんだ」
その真剣な声音を聞いて、ふと、リディの言葉を思い出した。
――私はもうこの町に海賊団なんていらないと思ってるの。
そして昨夜、あんなに歓声を上げていた町の人たち。あれはグリスノートを祝福していただけでなくて、そういう意味で皆喜んでいたのだろうか。