My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
オルタードさんはそんなリディを眩しそうに見つめ、それから、はぁと大きな溜息を吐いた。
「……いつ、イディルを出るつもりだ」
その片目がグリスノートを見上げる。それは先ほどよりも幾分か優しく見えた。
「準備が整い次第、今日にでも」
迷いなくそう答えたグリスノートに、オルタードさんはフっと笑った。
「目的地は。その様子じゃ大方見当がついたんだろうが」
「ヴォーリア大陸だ」
「ハっ、そりゃまた随分と近場じゃねぇか」
「途中、アヴェイラとも話をつけてくるつもりだ」
「……そうか」
皆が固唾を飲んで見守る中、オルタードさんは続けた。
「俺はもう引退した身だ。グリスノート、ブルーの今の頭であるおめぇが皆に伝えろ」
「わかった」
しっかりと頷いたグリスノートは仲間たちの方を向くと、スーっと息を吸った。そして。