My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
彼女は首を横に振り、私に真剣な眼差しを向けた。
「頼む。今はこの者たちに従って欲しい」
「従うってお前、」
ラグが唸るように言ったそのときだった。
「んだよ、他にも来ちまったのか?」
海賊たちの向こうから聞こえてきたその声には、聞き覚えがあった。
「頭、こいつら空を飛んできたんだ!」
「どうします頭ぁ!」
そう口々に喚く海賊たちを割って現われたのはやっぱり昨夜会ったあの若い乗組員だった。
だが今は服を大きく着崩し、腰には湾曲した長剣。そして頭には乗組員の帽子ではなく他の海賊たちと同じように空色のバンダナを巻いていた。