My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
と、その瞳が私からラグに移った。
「んー? こんなガキ乗客にいたっけか?」
「だから頭ぁ、こいつ急に小さくなったんだって!」
「空から降りてきたときはデカかったもんな」
「なんなんだテメェらさっきから。仕事失敗したせいでおかしくなっちまったのか?」
呆れ顔で言った“頭”に私は思い切って訊く。
「セリーンを、どうするつもりなんですか?」
出た声は大分震えてしまっていたけれど。
「あ? どうするもこうするも、そいつが俺たちのアジトについて来たいっつーから乗せてやったんだ」
くいと彼が顎で指したのはセリーンで、小さく「え?」 と声が漏れる。
「お蔭でこっちは稼ぎゼロだっつーの。……アンタも、オメェも、下手なマネしたら容赦しねぇからな」
ぎろりと恐ろしい形相で睨まれて、私は奥歯を噛んだ。
「俺は海賊団ブルーの頭、グリスノート。この船に乗った以上は俺に従ってもらうぜ」
そうして、私もラグも、あっと言う間にセリーンと同じように海賊たちに両手を縛られてしまった。