My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「紋章?」
「やっぱあの旗か。お前あれ見て驚いてたもんな」
紋章……風に靡いていたあの海賊らしくない綺麗なマークのことだろうか。
「あれがどうかしたの?」
「色は違うが、あれはうちの……我が家の紋章なんだ」
「え!?」
思わず大きな声が出てしまい慌てて口を塞ごうとして手を縛られていることを思い出す。
「で、でも、セリーンの家って」
「あぁ、もう無い……はずなんだ」
自分の家の紋章を海賊が使っているだなんて、そんなの気になるに決まっている。
セリーンの不可解な行動の理由がわかって一先ずほっとするが、ラグは大きく舌打ちをした。