My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「似たような紋章なんてこの世界にいくらでもあるだろうが。しかも色が違うんだろう?」
「ああ。私もそう思った。だから、あのグリスノートという男に声を掛けたんだ。あえて、故郷の言葉で」
「エクロッグの?」
セリーンが頷く。
「そういやお前、あの野郎と聞いたことのねぇ言葉で話してやがったな」
ラグも聞いたことのない言葉……。
「――あ、前に私に教えてくれた?」
以前、セリーンが今故郷の言語で話していると教えてくれたことがあった。
私には全部同じ日本語に聞こえて、自分が知らずのうちにバイリンガルのようになっていたことに驚いたのだ。
「あぁ。カノンにならきっと、私たちの会話が理解できたのだろうな」
セリーンが私を見て小さく苦笑する。そして再び視線を落とした。