My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「そうだな、言葉で私がエクロッグ出身者であるとわかったからか……。まぁ、あのとき私とあの男が加勢に入ったのは想定外だったろうからな」
――あの男とは言わずもがな大きなラグのことだろう。
「そっか、傭兵はひとりもいないはずだったんだもんね」
「あぁ。その時点で奴らにとっては失敗だったのかもしれないな」
そういえばあのグリスノートも「失敗」と口にしていた。
だとしたらやっぱりラグの元の姿を見られたらまずいだろう。その場にいなかった私にはラグたちが応戦したときの様子はわからないけれど、あのときの男だとわかったら仕返しされかねない。
「例の絵についても、長に聞いてみるつもりだ」
セリーンがラグに優しく言うと、ラグは大きな溜息を吐いた。
「そう簡単に会えりゃいいけどな」
そんなときだった。
――!?
微かに聞こえてきた“声”に私たちは一斉に反応した。