My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

「今、」

 セリーンを見れば真剣な瞳とぶつかった。

「ああ、今度は私にも聞こえた」

 そう頷いてもらえて確信を持つ。間違いない。

「今度は?」

 彼にも聞こえたのだろう、眉をひそめたラグに私は言う。

「昨日の夜もね、聞こえたの。今の歌うような声」
「歌……ん?」

 ラグが自分のポケットを見下ろした。ブゥが起きたみたいだ。
 ぴょこっとそこから顔を出したブゥは警戒するように辺りを見回した。

「もう少し入ってろ」

 ラグに言われてブゥは再び体をひっこめた。
 ブゥが起きたということは夜になったということ。

「幽霊船……?」

 ぽつりと口に出してしまってからぞわりと鳥肌が立った。その直後だ。

「誰か来る」

 セリーンがそう声を潜め緊張が走る。
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