My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
確かにこちらに近づいてくる足音が聞こえてきて、それは扉の前でぴたりと止まった。
ガタンという何か外れるような音の後でギギギと軋む音を立て扉が開いていく。
現われたのはグリスノートだった。
ちゃんと生身の人間で少しだけ肩を下ろす。ひょっとしてアジトに着いたのだろうか。
昼間見た時と同じ、その肩には可愛らしい白い小鳥が留まっていて。
(――あれ? そういえば昨夜も)
「出ろ」
「……?」
「あんただよ、あんた」
視線がぶつかって顎で指され思わず呆けた反応を返してしまった。
手が自由だったら確認のために自分を指差していただろう。
「え?」
「おい、この子は関係ない!」
セリーンが焦るように立ち上がり声を荒げた。