My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
そんな彼女を睨みつけグリスノートは抑揚のない声で言う。
「言っただろ。この船で俺の命令は絶対だ。なんなら今すぐに3人まとめて海に落としたっていいんだぜ」
その台詞にぞっとする。
案外いい人なのかな、なんて期待が一気に消し飛んだ。
「こいつになんの用だ」
唸るように訊いたのはラグだ。
「ん? 相手してもらうんだよ。なーんてお子様にはわからねぇか」
そうラグに向かって鼻で笑うのを見ながら、さーっと血の気が引いていくのを感じた。
(相手って……)
「ふざけんな!」
ラグが怒鳴りながら私の前に出てくれる。
「誰が行かせるかよ」
(ラグ……)