My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
やっと、グリスノートの言わんとしていることが分かった。
射貫くような視線を受けて冷や汗が滲む。
「そんなグレイスの声を“歌うような綺麗な声”と言ったてめぇらは、セイレーンの歌声を聴いたことがあるってことだよな?」
「ブゥ!?」
そのとき突然ラグが叫んだ。
え、と思ったときにはもうその白い身体はラグの頭上を飛んでいて。
「な、なんだこいつは!?」
「ぶぅ~~っ」
瞬間、私たちを助けるために飛んで行ったのだと思った。
でもブゥが向かったのはグリスノートではなく、グレイスの方で。
「ぶ、ぶう! ぶぶうっ」
グレイスの周りをはしゃぐように飛び回るブゥを見て、
「仲間と勘違いしているのではないか? 白い者同士」
セリーンがそう呟くのが聞こえた。