My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

「その反応。やっぱ知ってそうだな」
「いや、セイレーンの秘境は私も噂で聞いたことがあるだけだが、そんなもの探してどうする」
「はぁ!?」

 カっとグリスノートの目が見開かれた。

「そんなもの!? 今グレイスの歌声を聴いただろうが! こんな美しい歌声を持つ人間がいるんだぞ、一度お目にかかりたいだろうが! 聴きたいだろう生のセイレーンの歌声を!!」

 その急な熱弁ぶりにびっくりする。
 この世界の人たちから嫌われているセイレーン。そんなセイレーンに会いたいなんて、嬉しくないことはないけれど。

(ちょっと、怖いかも……)

「で、その歌声をてめぇらはどこで聴いたってんだよ!」
「ルバートだ」

 セリーンの答えにどきりとする。――ルバートは私がセリーンの前で初めて歌った場所だ。
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