My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「ルバート? ってランフォルセのか」
「あぁ。そこで偶然セイレーンに出会ってな。私たちの他にもその歌声を耳にした者は大勢いるぞ。ちょっとした騒ぎになったからな」
「ルバートねぇ……」
考え込むように視線を落としたグリスノート。
納得してくれただろうか……?
「ランフォルセか……チッ、遠いな」
小さく舌打ちをした彼は再び顔を上げた。
「どうだった」
「え?」
その瞳は真剣そのものだ。
「セイレーンの歌を聴いたんだろ。やっぱこのグレイスの歌声のように、美しかったか?」
「あぁ、とても美しい声だったな」
セリーンが優しい声音で答えるのを聞いて、じわじわと顔の熱が上がるのを感じた。