My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「一先ず入れ」
セリーンに言われラグと共に恐る恐るその部屋に入るとセリーンは扉を閉めしっかりと鍵を掛けた。
海賊の頭の部屋、と言うと奪った宝飾品などでキラキラジャラジャラしているイメージだったが、中はいたってシンプルな船室だった。
ベッドと机と本棚と、壁には海図だろうか大分色あせた地図が貼られていた。
窓がひとつあったが外は真っ暗で何も見えそうにない。
「男ならそこに伸びている」
「え!?」
セリーンが視線を向けた先、ベッド脇に確かにグリスノートは仰向けに倒れていた。その額にはブゥの鼻の形がくっきりとついていて。
「ブゥが突然私の背後から飛び出てきてな、その男がサーベルを抜いたと思ったらこれだ」