My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
すぐさま私も本棚に駆け寄り並べられた数冊の本を見る。その背表紙に書かれた文字はやはり私にはさっぱりだったけれど。
(でも、もしかしたら……)
私はその中でも一番古そうな本を抜き取り、破ってしまわぬよう慎重に捲っていく。すると。
「あった!」
思った通りのものが数ページに渡って書かれていた。――楽譜だ。
ソレムニス宮殿の書庫塔で見つけたものと同じ、いや、今度は私もよく見知った五線譜だった。
興奮で胸がドキドキする。
五線譜の下には歌詞らしきものも書かれていて、それが間違いなく歌の楽譜なのだとわかる。
文字が読めないのが酷くもどかしい。せめてメロディだけでもと音符を目で追いかけていると。
「なんだ、それは」
セリーンが横から覗きこんできて、そういえば彼女はあのとき見つけた笛の楽譜を見ていないのだと気づく。
「楽譜、だったか」
反対側からラグの声がして私は振り向き頷く。
「うん、そう!」