My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
怒号を上げそれぞれの武器を手に向かってきた海賊たちをラグとセリーン、更にはブゥも加わって次々と倒していく。
こういうときいつも自分には何も出来なくてもどかしい。ただ邪魔にならないよう見守るしかない。
楽譜の載った古い本を両手で握り締め思う。
(せめて歌で支援できたらいいのに……)
だがそんなことを考えている間に勝負はあっけなくついてしまった。
海賊が全員動けなくなったところでラグが私を振り返る。
「行くぞ!」
「うん!」
部屋を出る直前もう一度海賊の頭、グリスノートに視線をやり心の中で謝罪する。
(ごめんなさい。この本借りて行きます!)
後で絶対返すので……! そう続けてから私たちは彼の部屋を出た。