My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
(言っちゃって平気なの!?)
ハラハラしながらグラスを両手で持って口元を隠していると、
「それは災難でしたね」
カウンターの方から主人が驚いたように声を上げた。
「最近はこの辺りにも良く出ると聞いてはいますが」
「しかしまぁ、こうして命拾いできたからな。私たちは運が良かったのだろう」
セリーンがそう上手く返していると、リディアンちゃんが口を開いた。
「あなたたち、今夜うちに来る?」
「え?」
思わず素の声が出てしまっていた。内心慌てるが彼女は気にする様子なく続ける。
「さっきのお客も言ってたけど、この町には宿もないしさ。うち空いてる部屋があるから、どう?」
笑顔で首を傾げた彼女に私たちは顔を見合わせた。
「いや、とても有難いが。いいのか?」
セリーンが訊くとリディアンちゃんはにっこりと笑った。
「勿論。私はリディアン。よろしくね」
その笑顔はやっぱりとびきり可愛かった。