My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「それじゃ、2階を案内するわね。ついて来て」
灯りを持って階段を上り始めたリディアンちゃんを目で追いながら、私は酷い焦りを覚えていた。
いよいよ、何日かぶりの待ちに待った揺れないベッドだ。――でも。
(ラグと同じベッドで寝るなんて考えられない!)
以前まだセリーンと出会う前、セデの宿で同じ部屋に泊まったことはあったけれど、あのときはちゃんとベッドがふたつあったのだ。
しかし私のことを男だと思い込んでいるリディアンちゃんに、私も貴方の部屋がいいですとは言えない。最悪変態扱いされてしまう。
兄弟設定がこんなところで仇になるなんて……。
ラグもラグだ。わかった、なんて簡単に答えたりして。
(お前と同じベッドなんて冗談じゃねぇって、絶対に嫌がりそうなのに……。あっ)