My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
そこで気が付く。何もふたりしてベッドを使う必要はないのだ。どちらかがベッド以外で寝ればいい。
でも待ちに待った揺れないベッドだ。ラグだって私と同じようにベッドで寝たいに決まっている。
(譲ってくれる気がしないなぁ~~)
そんなことをぐるぐると考えているうちに最後私が階段を上り切ってしまうと、それを確認したリディアンちゃんが奥の部屋を指差した。
「あっちが私の部屋で、こっちが兄貴の部屋」
私が返事をしようとしたときだ。
「私も兄上の部屋を使っていいだろうか」
そう訊ねたセリーンを私はハっとして見上げる。
「私はこの子らの傭兵だ。片時もそばを離れるわけにはいかない」
(セリーン……!)
思わず心の中で歓声を上げていた。