元最強女総長は甘くない。
多少の疑いを感じたけど、無視。
この人のこういうのをいちいち気にしていたらキリがない。
「はい、ご心配ありがとうございます」
なるべく丁寧に、そして悟られないように。
取り繕いながら会話する。
「紗楽………」
夜さんは少し切なげな声を出す。
「…なんですか?」
私が返事をすると黙ってしまう。
これはいつものことだった。
そして決まって
「ごめん、なんでもない。忘れて」
なぜか苦しそうに謝る。
だけど私にはわかった。
夜さんの謝罪が何に対してなのか、そして夜さんが私のために苦しんでくれていることも。