短編小説集 (恋愛)
「…へい」
「へいじゃない」
「…ハイッ」
適当に『ハイ』と返す俺を見て、先生はため息をついた。
「彼女ができて浮かれ気味のこいつに誰か制裁を与えてくれ」
真顔でそう言う先生。
てか、酷くないすか⁉︎
浮かれてないし、逆に落ち込んでるんですよ?
てかなんも悪いことしてないし。
心の中の声はどれも反抗的で。
言葉を選んだつもりだったが「先生! それはないですって!」というこれまた反抗的な返しをついしてしまった。
「授業中にうるさい」
え、そういうこと言っちゃうんですか?
「てか、うかれてません…——痛っ!」
「聞こえてんのか。授業中に、う る さ い」
もう一度教科書の角で軽く頭を叩いた先生は、若干大げさに『う る さ い』と言った。
てか、どっちが突っ込んでて、どっちが突っ込まれてんのかわかんねー。
「先生の立場乱用してる…」