短編小説集 (恋愛)
優しいんだなぁ…。
そう言われて俯き気味に「ありがと」と言うと彼は続けた。
「僕が、大好きです」
「うん…ありが…——ぅええ⁉︎」
そんな…義理で好きとか…。
「どうですか? 初めて告白された感想は」
「あの…さ、そういうのは義理とかで言っちゃダメだよ? 本当に好きな人に言わなきゃ」
義理で好きとか言われても、嬉しくないよ…。
だって、これまでの文脈的に、そうでしょう?
「ありがと由真くん。でも嬉しくなんてないよ」
なぜか、ちょっとだけドキッとしちゃったけど。
私が本命相手なわけがない。
「もう〜、先輩!」
フワリ
清潔そうな香りが鼻を掠める(かすめる)。
そう思ったのと同時に温かさを感じた。
「え…?」