俺がしあわせにします
でもそれは流石に大人気ないっていうか、言うのも気がひけた。

だから、理由もちゃんと伝えて断ったのに。

上目遣いで俺を見ていた彼女が、俯いた。

「わかった。でもまだ時間あるし」

そこで顔をあげて

「来る気になったら連絡して!みんな颯多くんと会いたいって思ってるから!」

「みんな」を強調してにっこり笑顔で言った。

でもここで何か言えば、彼女を煽ることになりかねない。
無駄に話が長引くのは論外だ。

俺は不本意ながら右手を軽くあげて、笑顔で返した。

「了解」

「うん!みんな待ってるからね!」

彼女のキラースマイル。
まぁ、俺には効かないけどね。

はぁ、なんかこれから面倒だな。と思いながら俺は歩き出した。

曲がり角を曲がったところで、俺の目の端にその人は映った。

「おつかれさまです」

「おつかれさま」

彼女は俯いたまま返した。
沢山のファイルやら資料やらを抱えて立っている。
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