俺がしあわせにします
どうやら俺はまたしても一人で終止符を、打とうとしているらしい。

修二、ハル、そして椎名さんまでが、いつもお決まりの言葉で俺を止める。

「おまえは振られてなんかない」

どうして俺ばかりがこんなに感覚がずれているのだろう。

当事者だから?

いや、違う。


それはきっと、俺が初めて本気の恋をしたからだ。


適当に付き合った数なんて、なんの経験値にもならない。


25歳にして、ようやくそんなことを知った。


今までの俺が、どんなに想いを伝えても、どんなにそばにいたって、優秀な部下で、彼女に尊敬すらされたとしても、きっと椎名さんの言う通りだ。

彼女の本当の気持ちを知ることはできない。

永遠に俺のものになんかならない。

きっとそれは真実だと、受け入れることができるようになっただけでも、彼には感謝しなきゃいけない。

終わっていないと諭されるたびに、俺はどうなったら終わりなのか気になっている。

和奏さんからなんて言われたら俺の恋に終止符は打たれるのだろう。

俺は果たして、その言葉に気付けるのだろうか?
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