俺がしあわせにします
あれ?なんか予想してたのと反応違う。

「社内の誰かと付き合ってるの?あいつ」

俺の目が節穴じゃないのなら、これはほんとに驚いてる気がする。

「椎名さん、何も聞いてないですか?」

俺は確認するように椎名さんの目を見て話し出した。

「恋愛の話もしたことあるけど、最近は全然聞いてない。3年前くらいは、社外のやつと付き合ってたの知ってるけど」

「3年も前。それ以降は・・・」

椎名さんが辛そうな表情に顔を歪めた。

だから、先の句がつなげなかった。

「フラれたって言って、別れたって聞いたんだ」

「そう、ですか」

なんか、重苦しい雰囲気になってきちゃったよ。
もうやめよう。

とにかく椎名さんは、和奏さんの相手が誰かわからないってことだ。

「あ、あの今夜突然すみませんでした!ありがとうございます」

そう言って俺は立ち上がろうとしたのだけど、椎名さんに腕を掴んで止められた。

「おまえ、何か見たの?それとも聞いたの?」

「え?あ、その」

「今の質問の仕方だと彼氏がいるか気になって俺に聞いたんじゃないだろ」

うっ、バレてる。てか俺が失敗したと思ったところだよそれ。

椎名さんは見逃してくれなかった。

和奏さんって、彼氏いるんですかね?って聞けばよかったんだ。俺が和奏さんを好きな気持ちはもうバレてるんだから、これなら、不自然じゃない。

けど、俺は素直に見たことを言ってしまった。

「倉科?何かあったのか」

椎名さんの腕の力が強まる。

俺は観念して、昨日のことを話した。
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