俺がしあわせにします
数時間前、人生で2番目にショックな出来事にあった。
あったとはいっても、俺が求めたことの結果だけど。

梅雨空を眺めながら、濡れるのも気に留めず、俺は帰宅した。

濡れた体を温めるため、シャワーを浴びた。
そこで、俺は大事なことを思い出した。

このまま放置はないだろ。
これじゃ人でなしだよ。

シャワーをさっさと終えて、濡れたスーツのポケットからスマホを取り出した。

特に、着信やその後のメッセージなどはきていなかったが、俺は初めて彼に電話をかけた。
初めての電話がこれって、どうなんだろ?
なんか恥ずかしいし、カッコ悪い。

2コール目で相手が出た。

「お疲れさまです。倉科です。あ、あのさっきはメッセージありがとうございます。

ご心配おかけしてすみません。俺大丈夫です。ほんとに大丈夫ですから」

そこまで一気に喋った。

「落ち着けって。かえって無理してると思うぞ」

え?そう・・・か?

「うん、なら良かった」

電話の向こうで安堵してるのがわかった気がした。


「あの、どうしてあんなメッセージ。
あ、いやその」

やっぱ失礼だよな。っと思って、聞くのをやめようとしたのだが、椎名さんが答え始めてしまった。

「あ、もしかして、気に障った?」

「いえ!そうじゃなくて、なんでかなって」


「そっか、良かった。あのさ、なんかほっとけないんだよ。
俺さ、片思いしてる気持ちはすげーわかるんだけど。おまえは俺とは違うと思うから」

え?

「参ってるかなって思って」

椎名さんの声が優しく耳に響いた。

この人もほんとに・・・
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