俺がしあわせにします
トラブルもなく、順調に仕事が捗り、お昼休みになった。

今夜の店を選んでたら、少し遅くなったがランチは外に食べに行こうと思い、エレベーターに乗り込んだ。

ピークを過ぎているからか、たまたまか、俺以外誰も乗っていない。


途中、2つ下の階で扉が開いた。


開いた扉の向こうに椎名さんが立っていた。


「お疲れさまです」

乗り込んでくる椎名さんに会釈した。


「お疲れさん」

椎名さんはそれ以上何も話さなかった。

無言のままエレベーターは1階に到着し、ドアが開く。

降りようとする彼に俺は慌てて声をかけた。

「あの、椎名さん、昨日はありがとうございます」

「あれは俺が勝手にやったことなんだから。そんなの気にしなくていいのに。ほんとおまえ律儀だね」

「いえ、それだけじゃなくて。その・・・」

「ん?何かあったのか?」

言いかけてやめた。
椎名さんに言ったってわかることじゃない。

「え?なにもないですよ。あ、そうだ、椎名さんもこれからランチですか?よかったら、一緒に行きませんか?昨日のお礼に、今日こそ!俺がご馳走しますから」

「今日こそ」の部分を強調して、明るく笑顔でランチに誘った。
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