俺がしあわせにします
静かなオフィスにパソコンのキーボードを叩く音が響き渡る。
時刻は20時を少し回ったところ。
今日はみんな定時過ぎに上がってて、今残ってるのは俺だけだ。
キリのいいところまで。ってやってたらいつのまにかこんな時間になってた。
そろそろ俺も上がるか・・・と思いデータを保存していると入口に人影が見えた。
「まだ誰か残ってるの?」
この声は、和奏さんだ。
「お疲れさまです」
入口に向かって声をかけると、足音が近づいてきた。
「お疲れさま、残ってるのは倉科くんだけ?」
「はい、今日は皆定時過ぎで上がりました」
「そう。倉科くんは、何かあったの?」
「いえ、キリのいいところまでやっておきたくて。って感じです」
俺が答えると和奏さんは、はっとしたカオになり、慌てる。
「もしかして、わたしが割り込んじゃったから、予定狂っちゃったとか」
両手をぱたぱたと忙しなく動かしてる。
そして、最後に両手を合わせて、「ごめんなさいのポーズ
「そんな大げさなことじゃありません、和奏さんが気にすることじゃないですよ」
「でも・・・」
納得いかず相変わらず申し訳なさそうなので、俺は話題を変えることにした。
「それより、どうだったんですか?本日のお客さまは」
その問いかけには、顔を上げて明るく答えた。
「うん、前のめりで聞いてくれてね、中々よかったと思うの。資料も良かったし、椎名の営業トークも興味引いてたと思うし」
「そうですか。それは良かったです!」
俺が笑顔で返すと
「ほんとにありがとう!」
俺が欲しかった笑顔が返ってきた。
「あの」
和奏さんも上がりだったら、これからご飯でも、行きませんか?
と言いかけたときだった。
その声が聞こえたのは。
「宮原、準備できたか?」
椎名さんの声。
入口に人影が現れた。その影が近づいてくる。
「あれ?誰かと話してんの?」
あっという間に椎名さんは俺の前まで来た。
和奏さんが、椎名さんを振り返った。
「うん、倉科くんが残業してたから」
「ふーん」
そう言って彼は俺を見つめた。なんか居心地悪くて俺が目をそらすと、にっこり笑って言った。
「お前も、もう上がるんだろ?一緒に飯行こうぜ」
「え?」
予想外の展開に思わず、驚きの声を上げてしまった。
和奏さんが慌てて割り込んだ。
「ちょっと、椎名、そんな急にダメよ。倉科くんに迷惑よ。予定だってあるかもしれないし!」
和奏さんの話を聞いていた椎名さんが再び俺に向き直る。
何をいうつもりですか?
「予定あんの?」
「へ?」
またしても予想外のセリフに、今度は間の抜けた返事をしてしまった。
「倉科くん、ごめんね。気にしないで。今日の案件が良かったから、椎名ちょっと浮かれてるの。気分がいいから、これから簡単な打ち上げでご飯食べようってことになって」
今度は椎名さんの方へ向き直って、
「先輩に誘われたら断りにくいでしょ。わたしが行くからいいじゃない」
え?ちょっと待て。俺が行かなかったら和奏さんは椎名さんと二人きりでご飯に行くってことだよな。
それは、嫌だ・・・
「和奏さん、いいですよ。俺行きます」
「よし!決まり」
椎名さんは嬉しそうに言って、俺に早く出られるようにしろと急かす。
なんだよこれ?なんで俺がライバルと一緒に飯なんか食わなきゃいけないんだよ。
でも二人で食事に行くのをみすみす見逃すことは俺にはできない。
和奏さんと二人きりじゃなかったら、絶対あんたなんかと行かないのに!
俺は心の中で 毒づいた。
時刻は20時を少し回ったところ。
今日はみんな定時過ぎに上がってて、今残ってるのは俺だけだ。
キリのいいところまで。ってやってたらいつのまにかこんな時間になってた。
そろそろ俺も上がるか・・・と思いデータを保存していると入口に人影が見えた。
「まだ誰か残ってるの?」
この声は、和奏さんだ。
「お疲れさまです」
入口に向かって声をかけると、足音が近づいてきた。
「お疲れさま、残ってるのは倉科くんだけ?」
「はい、今日は皆定時過ぎで上がりました」
「そう。倉科くんは、何かあったの?」
「いえ、キリのいいところまでやっておきたくて。って感じです」
俺が答えると和奏さんは、はっとしたカオになり、慌てる。
「もしかして、わたしが割り込んじゃったから、予定狂っちゃったとか」
両手をぱたぱたと忙しなく動かしてる。
そして、最後に両手を合わせて、「ごめんなさいのポーズ
「そんな大げさなことじゃありません、和奏さんが気にすることじゃないですよ」
「でも・・・」
納得いかず相変わらず申し訳なさそうなので、俺は話題を変えることにした。
「それより、どうだったんですか?本日のお客さまは」
その問いかけには、顔を上げて明るく答えた。
「うん、前のめりで聞いてくれてね、中々よかったと思うの。資料も良かったし、椎名の営業トークも興味引いてたと思うし」
「そうですか。それは良かったです!」
俺が笑顔で返すと
「ほんとにありがとう!」
俺が欲しかった笑顔が返ってきた。
「あの」
和奏さんも上がりだったら、これからご飯でも、行きませんか?
と言いかけたときだった。
その声が聞こえたのは。
「宮原、準備できたか?」
椎名さんの声。
入口に人影が現れた。その影が近づいてくる。
「あれ?誰かと話してんの?」
あっという間に椎名さんは俺の前まで来た。
和奏さんが、椎名さんを振り返った。
「うん、倉科くんが残業してたから」
「ふーん」
そう言って彼は俺を見つめた。なんか居心地悪くて俺が目をそらすと、にっこり笑って言った。
「お前も、もう上がるんだろ?一緒に飯行こうぜ」
「え?」
予想外の展開に思わず、驚きの声を上げてしまった。
和奏さんが慌てて割り込んだ。
「ちょっと、椎名、そんな急にダメよ。倉科くんに迷惑よ。予定だってあるかもしれないし!」
和奏さんの話を聞いていた椎名さんが再び俺に向き直る。
何をいうつもりですか?
「予定あんの?」
「へ?」
またしても予想外のセリフに、今度は間の抜けた返事をしてしまった。
「倉科くん、ごめんね。気にしないで。今日の案件が良かったから、椎名ちょっと浮かれてるの。気分がいいから、これから簡単な打ち上げでご飯食べようってことになって」
今度は椎名さんの方へ向き直って、
「先輩に誘われたら断りにくいでしょ。わたしが行くからいいじゃない」
え?ちょっと待て。俺が行かなかったら和奏さんは椎名さんと二人きりでご飯に行くってことだよな。
それは、嫌だ・・・
「和奏さん、いいですよ。俺行きます」
「よし!決まり」
椎名さんは嬉しそうに言って、俺に早く出られるようにしろと急かす。
なんだよこれ?なんで俺がライバルと一緒に飯なんか食わなきゃいけないんだよ。
でも二人で食事に行くのをみすみす見逃すことは俺にはできない。
和奏さんと二人きりじゃなかったら、絶対あんたなんかと行かないのに!
俺は心の中で 毒づいた。