俺がしあわせにします
早く今日の本題に入らないと、時間がなくなったりしたら俺の気持ちが持たない。

俺は気合いを入れるため、居住まいを正して、和奏さんと向き合った。

「あの、和奏さん」

話しかけたところで、「失礼します」と扉が開いて、店員さんが料理を運んできた。

「わぁ!美味しそう!温かいうちにいただこう」

和奏さんは料理を見て嬉しそうに言う。そして、まるでさっきの俺の話を聞いていなかったように、颯爽と取り分けようとする。

「だから!俺がやりますから、和奏さんは大人しく座っててください!」

慌てて手で制すると、拗ねた子どものように口を尖らせて呟いた。

「座ってます」

そして開き直った。

「別にいいじゃない、どっちでも。倉科くんさっき、何か言いかけたでしょ。わたし取り分けながら聞いてるから、話して」

悪気なんて全くない和奏さんのその一言が俺のスイッチを入れてしまった。
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