俺がしあわせにします
「ダメです!俺そんな気分じゃありません!」

「え?」

和奏さんの手がピタッと止まった。

しまった!何言ってんの俺!

「あ、あの」

ダメだ、動揺してて、ポーカーフェイスのポの字も出せない。

恥ずかしくて俯いてしまった。

俺今、どんなカオしてる?

和奏さんは動きを止めたまま、俺を見つめている。

沈黙が流れた。

俺が顔を上げないでいると、和奏さんが手を動かし始めたと同時に話し出した。

「うん、そうだね。ごめんなさい」

料理がきれいにお皿に取り分けられた。

「いえ、俺こそ、すみません」

そう言うのでいっぱいいっぱいだった。

「せっかくのお料理もったいないから、食べてから話そうか」

和奏さんが明るく言う。

俺は黙って頷いた。

二人とも無言で食べた。

今まで何度か二人でこんな風にごはんを食べたことあるけど、こんなの初めてだ。

いつも和奏さんが話題を提供してくれた。
仕事のことやプライベートなんかも、笑ったり、怒ったり悲しんだりしながら、表情をクルクルと変えながら、話してくれた。

そんな彼女を見つめてるだけで幸せで、俺はいつも相槌打ったり、一緒に悲しんだり、笑ったりして、聞いていたんだ。

こんな重い空気に包まれたことない。。。
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