俺がしあわせにします
しっかりしろ!
覚悟決めただろ!
あの日のことは真実だ。
だから、彼女から本当のことを聞く覚悟をしたんだ。

そして、きちんと俺の思いを伝えなきゃ。

俺がそんなことを考えていると、和奏さんから話し出した。

「ごめんね、時間が空いちゃって。ほんとうはあれからすぐ、わたしから話さなきゃいけなかったよね。倉科くん、わたしに合わせて何もないふりしてくれてるんでしょ」

あ、それは全然違うけど。

心の中で思い、どう言おうか迷っていた。


「あんなところ見られちゃって、なんか恥ずかしくて。わたし倉科くんの上司だし。もう穴があったら入りたい!みたいな感じで」

「言いふらしたりしないって言ってくれたときね、素直によかったってホッとしたの」

うん、お礼言われましたもん。


「でもね、やっぱりこのまま無かったことになんてお互いできないでしょ。だからわたしも話さなきゃって思ってたの」

彼女はどう話すのだろう。
色々わかりやすい人だけど、想像できなかった。


「わたしが社内の人と付き合ってるのは事実よ。倉科くんが見たとおりなの。でもそれを公表するつもりもないの」

そりゃそうですよね。普通しませんって。


「だからこれからも、そっと見守ってくれたら」

そこまで言ったところで、冷静を取り戻しかけてた俺のアタマが再び熱を持ち始めた。
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