俺がしあわせにします
「できません。俺は見守るなんて無理です」

「え?倉科くん、どうしたの?」

「どうもしませんそれはできないって言ってるんです」

「うん、わかった。でもどうしてそんな怖いカオしてるの?」

そうか、俺は今和奏さんが戸惑うほど、怖いカオをしてるのか。

うん、仕方ない。


「俺、怖いカオしてますか?そうですね、そうかもしれません」

和奏さんはまだ少し怯えているようだ。

「はっきり言います。やめたほうがいいと思います。あんたにあの人は似合わない」

和奏さんの瞳は、怯えた色から驚きの色に変わった。

「あの人って・・・倉科くん?」

「知ってますよ。この目で見ましたから」


「見た?この前以外に?どこで?」

和奏さんも少し動揺してるみたいだ。俺の存在を無視して独り言をいいながら、考えている。

「この前の誕生日の日です」

「うそ・・・。だってあの日は」

俺は先に帰ったし、まさか尾行されてるなんてユメにも思わないから、彼女は驚きを隠さなかった。

「ほんとはずっと知りたかったんです。あの日の真実が。だから俺、和奏さんを尾行しました」

思ったよりも声も震えず、伝えることができた。

俺の言葉に和奏さんは驚愕していたと思う。

「信頼してた部下に尾行されるなんて」顔に書いてあった。

でも、もう止められない。俺は再びカクゴを決めた。

「高橋部長って、社内でも有名な愛妻家ですよね」

「うん、そうね」

「そんな人と本当に恋愛できるわけないじゃないですか。
だいたい、向かないんですよ!不倫なんて」

この物言いはまずかった。

彼女の顔はみるみる怒りに染まっていく。
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