俺がしあわせにします
「だからほっとけないんだよな」

「それにしても過保護だな、颯多に甘すぎだろ、おまえは」

「そんなことないよ。こいつみたいに普段優等生やってるやつは、突然壊れちゃったりするんだよ」

少し間が空いた。


「だってさハル。
もう、あのときみたいにならないように

俺たちはいるんだから」

静かに修二が続けた。


修二がなんのこと言ってるかはわかる。

昔あったことだ。
もう何年も前のことだ。


あの日、今夜のように、俺は二人の前で初めて泣き喚いた。
いやそれ以上に、声が枯れそうなくらい喚いた。
思ってることを全部二人にぶちまけた。

いつもと様子のちがう俺に、二人が驚いてたのを覚えてる。

もう、いつもみたいにポーカーフェイスでかわせなかった。

起こったことが大きすぎて、考えることを、放棄した。

そして俺がたどり着いたのは、誰かに聞いてもらうことだった。

選択肢なんていらなかった。
あのとき俺の頭には二人しか浮かばなかったんだ。
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