はやく俺のモノになればいいのに
「なんで1年が桜井くんと?」
「調子乗んなよ」


すれ違う女子生徒がそんなことをつぶやいていた。


わざと聞こえるように言われたのかもしれない。


「先輩のファン、カゲキですね。(しつけ)がなってないんじゃないですか」
「そんなこと言われても。それは俺の役割じゃないし」
「じゃあ誰のです?」
「そんな口の利き方しかできない子供に育てたクソ親どもかな」


う、うわぁ。

桜井先輩がクソって言った。


なのに笑顔キープしてて、怖い。


桜井先輩は、王子っていうより――キングって感じがする。


そんな相手に実柑は対等にものを言っているのだから、女王というところだろうか。


「本性じわじわ現しましたね」
「こんなのが俺の本性だとでも?」
「違うんですか」
「俺がどういう人間かってこと教えてあげてもいいよ」
「一生知らなくていいです死ぬほど興味ありません」
「生意気なその口。今すぐ塞いでやろうか」
「半径2メートル以内に入って来んな」
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