はやく俺のモノになればいいのに
「さっきの話だけど」
「え……と」
「小人の手紙」
「あ、"わすれもの"ですね」
「そうそう。あの手紙、もしモモが小人なら。どう思う?」
映画の小人――好奇心旺盛な女の子は"余計なことをしないで"と角砂糖を人間に突っ返していた記憶がある。
「私だったら。ああ、親切な人間もいるんだな……って。喜んでもらってしまうかもしれません」
「そう言うと思った」
「えっ」
「それで。そのあとも、その角砂糖くれた人間と仲良くしそうだよね」
否定できない。
というか、きっとそんな感じ。
「ユキさんならどうします?」
「んー。俺は。なにもしない」
なにもしない……?
「そもそもに手紙も読まない。それに触れた形跡も残さない」
「諦めるんですか、角砂糖」
「そうだね。"人間は危険だ"と親から言われているのに、わざわざ関わるなんてことは。しないかな」
「それじゃあ物語は終わっちゃいます」
「はは」