はやく俺のモノになればいいのに

優しくされて

甘やかされて


こんな風に、キスされて


自惚れるなって方が無理がある。


「私、ユキさんにふさわしくなれるよう。努力します」


かわいくお洒落してる女の子たちのように、なりたいと思う。


カフェ猫にばかり目を向けずに、自分のこと磨きたい。


「モモは十分魅力的だよ」


俯いていると、耳に髪をかけられ、頬に手を当てられる。


「かわいくて、危なっかしくて、放っておけない女の子だ」


顔をあげると微笑んでいるユキさんがいて。


「君がカノジョなら。楽しいと思う」


素敵な言葉ばかり伝えてくれているのに


「俺を独占したいなら。いくらでもさせてあげる」


嬉しいことだけ言われているのに


「甘いことはモモとだけ――モモが望むだけ、してあげる」


ユキさんがどうしてそんなに悲しそうに笑っているのか、わからない。
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